雅敘園作品展の搬入と初日。
極端に室内の照明が暗く、その様子をお伝え出来ない。
搬入時の感想は、思ったよりも雅敘園の室内装飾(天井・欄間の絵画や建具の細工等)に、キルトがマッチしていて素敵な空間になっているという事だった。
初日朝一番、溯芳さんと各部屋の展示を丁寧に観る。ミシンキルトの部屋の感想には、誉め言葉が聞こえて来ない。
丁寧な仕事の空間には合わないのだと、改めて感じる。
目黒の時代布専門店「池田」を、協会のキルターの何人がご存知だろうか。
10年前に、日本橋高島屋の和キルト展のチケットを、池田重子さんにお送りさせて頂き、お礼の電話があった。
今回も、チケットを持って伺った。池田重子さんのお嬢さんが丁寧に受け取って下さる。
同行した金沢の生徒は、仕覆や茶箱用にと、たくさんの時代布を求めていた。
わたしは、小さな古裂と人形の半纏を求める。小さな丁寧な針仕事に、ほっとさせられる。古布の端布をどうぞと勧められ頂く。
搬入時に、漁樵の間の故・藤代郁子さんのスリーブ(棒通し)の修理をさせて頂いた。スリーブも時代布だった。
溯芳さんが、わたしのキルト以外で誉め言葉を発したのは、藤代さんの椿。
半年の期間しかなかった事と、床の間はグループキルトとされているので、わたしの『春愁秋喜』(205×180)をグループで作ったと、殆んどの方々が思い込んでおられる。
床の間のキルトの前に飾られている、溯芳さんの蓮台に関する若い女性からの質問があり、「種も、種を包む山吹色や紫色の草木染の布も、玉虫や貝殻も、唄を歌っているんだよ。蓮台が喜んでいるでしょ。」と。
キルトを観て下さる方たちの心に、歌が聴こえてくる様な和らぎを、キルトの中に吹き込める様に精進しよう。