今月5回目になる新幹線で仙台に向かう朝、三田のベランダで翁草の花が開いた。
昨日の蕾からは想像出来ない色彩と、顔を見せてくれた喜びに微笑む。
先方からはたまにしかかかって来ない電話が深夜にかかってきた。
途中で、同居しているお嬢さんが半ば強制的に替わられた。
「おつきあいして20年以上になりますが、お母さまからどなたかの悪口を聞いた事はありません」と伝えた。
「私は変わっている人間かもしれませんし、元々物忘れがひどい人間ですが、娘夫妻に“痴呆がひどくなっている”と決めつけられる事には承服出来ません」と話す80歳半ばの友人は、若い頃から銀座の近くに住んでおり、お洒落でボランティア精神に富んだ(つい最近迄同世代の方の話相手のボランティアをされていた)方だ。
日本はどうなって行くのだろうと危惧する中、朗報が舞い込んだ。
福井から元生徒が娘と二人で工房のお花見作品展に車でやって来るという。
雪帆ちゃんと優海ちゃんはまだトイレが仮設の頃に畑仕事を手伝ってくれた。その時の話を本にも書いたが、「ママ~、せんせ~、だ~いすき」と叫んでくれた幼い頃の彼女たちの声を決して忘れる事は無い。
奇跡は誰にもおきると信じきれるかどうか、だろうか。