田中忠三郎著「みちのくの古布の世界」が届き、“すてない布”のパッチワークに会いに、浅草アミューズミュージアムに行く。
カメラOK、触るのも自由という信じられないミュージアム。
展示室に海外からの観光客らしき男性と二人という贅沢な空間で、お隣の浅草寺境内の人混みの中に入る事なく、豊かな時間を過ごした。
触る事は避けたが、北国の方たちが冬の仕事に使った手袋だけを触り、はめてみた。女性がご主人の為に作ったのだろうか。
この何度も何度も重ねて縫った手袋や足袋を、大切に収集して下さった田中忠三郎さんに、心から感謝したい。
どなたがつくったかわからない60年前の刺し子の前掛けが、普段着であったなど信じがたい事である。麻の葉模様に更に緻密な細い糸の麻の葉模様が重ね刺ししてある。
長い間見入っていると、作られた方の思いが伝わってくる。
黒澤監督の映画「夢」の中の笠智衆さんの衣裳も田中氏のもので、実物が展示されている。
田中忠三郎さんは、“捨てない”精神を何より大切にされ、衣と布にはいのちが宿ると語られている。一階はショップで、田中氏の書籍やこぎん刺しの製品などが並んでいる。