今春、9年目にして初めて二種の桜の開花をみます。一種は岐阜から届いた淡墨桜、もう一種は現在たくさんの房状の蕾をつけている上溝桜です。
山桜は、花が咲くのに10年はかかるといわれており、待ち望んだ桜たちの開花です。先月末、淡墨桜のひとひらが掌に舞い降り、彼方よりのひとしずくを戴いた如くうれしいものでした。
工房の春一番の仕事は、春の酵素造りです。約50種余の草木の新芽を使う春の酵素は工房ならではのもので、都会に住む人たちの憧れです。
新芽以外にも、ワサビ・キランソウ・カキドオシ・タンポポ・アマチャ等の薬効ありとされる花々に加え、今年は上溝桜の蕾も仲間入りしました。この花の蕾は新潟県では塩漬けにして食するそうです。「又ひとつ、工房の名物ができますね。」と花の名前を調べて下さった庭師のYさんご夫妻の笑顔がやわらかい風になります。
先週、オーストラリアから学生・教授ご一行15名が工房見学をされました。クイーンズランド大で建築を専攻する方たちです。教授より日本の古民家に関する事や山の湧き水に関しての数多の質問を受けました。
一行を由良にお送りする途中、山上に林立する風力発電の景観に驚かれた方がいらして、日本の風力発電についての説明をさせていただきました。
私たちが風力発電についての勉強会を最初に開いた時から3年が経ちます。その際、県に計画全般の情報公開・環境アセスメントの徹底・健康被害に関する調査等を求め、5000名近い要望署名を提出しました。
今月の30日には、東京で風力発電に関する全国集会が開かれ、和歌山県野鳥の会の津野さんも呼びかけ人の一人になっています。津野さんによると、現在日の岬に計画中の大規模風力発電計画地は、鳥たちの渡りのルートにかかっており、希少生物のクマタカにも影響が大であるとの事です。
日本では、沖縄の竹富島リゾート発にもみられる様に、住民に対しての詳細な説明のない開発計画がまだまだ多いのが現実です。ひとりひとりがよく考え、
声をあげることでしか何かを動かす力にはなりません。
竹富島に住む方の言葉です。
「新しく作り出されるその道に、神様は通りますか?」
黒田街子(蒲公英工房主宰・キルト作家)