修士課程をご一緒した友人が、卒業から6年で博士論文(竈考)が通った。
春に京都芸術大学(元造形芸大)を卒業後博士課程の受験に失敗したが、何とその秋に京都工芸繊維大学という格がずっと上の博士課程に見事合格。
65歳で京都芸大入学、4年後に修士課程入学、博士課程は6年で12年。「12年の青春でした」との報告を受け、嬉し涙が溢れた。
毎月希望した生徒たち三人に、「染織の美」(30巻)を数冊づつ送り続けている。取り寄せている中に入って来た二冊。これらの国宝を全て直に見ている。
「刺繍釈迦説法図」「蜀江錦」どれ程立ち尽くして観た事だろう・・・。脳裏に刻まれている。
今日、慶應大イタリア語講師・京藤先生(元生徒のご子息)が三田に寄られ、眞紀さんも一緒に語り合う。
帰り際に出された写真は、現在ベネチアの博物館に所蔵されている日本の婚礼の「輿」。京藤先生は依頼を受けてルーツを調べているとの事。その輿の模様が、奄美の大島紬の「秋名バラ」で驚く。
数年前にイタリアから運んで大江戸博物館で展示された位の宝物。博識の江本さんに尋ねると、「島津藩の何方かでは」。
ふとしたきっかけで何かが始まる。
博士課程を修了した佐藤さんのきっかけは、母方の先祖・松花堂文庫の古文書だった。
正眼寺の竈の歴史も古く、見せて頂くべくご一緒した折に、老師様は「現在も毎日使われている古い竈は、他に無いでしょう」と仰った。
友の精進努力の日々を称えつつ、脳裏に刻まれている日本の宝物に近づく努力を重ねたいと切に希う。